黄瀬くんはっぴば(火黄、誕生日は関係はない)

 割とハイスピードで崖からフライハイしました!てへ!
 ということで、黒バス。火黄。黄瀬出てない。火黒でも黒火でもないのよ?(笑)






「火神くん、隠した方がよくないですか。それ」
「それ?ってドレだよ」
「それですよ。首のとこ」
 それ、と黒子が何故か呆れたような顔をして自らの首で指し示すあたりを鏡に写してみて、火神は眉を顰めた。
首というか耳の下というか、区別のむずかしいあたりの肌に誤魔化しようもなくくっきりと残された鬱血の痕。思い当たる節なんて火神にはもちろんひとつしかない。
「人には痕つけんなっつっといてあいつ」
 自分は遠慮なしかよとぼやく火神の耳に、黒子の淡々とした声が届く。
「君たちの赤裸々な性生活については絶対聞きたくないですけど、浮気して泣かせるようなことがあったらそれなりの覚悟はしておいてくださいね」
 表情や抑揚に乏しい分、その脅し文句にはなにか凄みすら感じる。自称黒子の親友、本人不在のところでは報われているのだ、時々は。
「父親か、おまえ」
「あんなバカでボクより大きい子供もったつもりありませんけど、いちおう元教育係ですから」
 涼しい顔を保ったまま着替えを再開した黒子に倣いながら、火神はさっきの黄瀬が聞いたら泣いて喜びそうな言葉は教えないでおこうか、とひっそり考える。
 尊敬やら憧れやら、いささか特別が多すぎるのだ、彼の恋人には。本人にそれを言ったらあの人たちはそんなんじゃないとむくれられるか最悪泣かれるので黙っているが、内心穏やかでないことも少なくはない。
「そうだ、火神くん」
「お、おう、なんだ今度は」
「さっきのは黄瀬くんには言わないでくださいね」
 心を読まれたのかと思わずにいられないタイミングに面食らって再び手が止まった火神を尻目に、先に行きますねと言い置いて黒子は部室を出て行った。
 残された火神も気を取り直してシューズに足を突っ込む。黒子の真意など考えてもどうせわからない、ということがわかる程度には馴染んだ相棒の後を追った。
 結局黒子の忠告をすっかり忘れた火神が、首筋の痕について他の部員にさんざん詮索されることになったのは言うまでもない。
(ここまで)